新聞作り入門

Ⅵ 記事の書き方

 

準備作業/取材と構成

 材料をそろえて設計図を描く

 

 記事を書くとき必要なのはまず問題意識。日頃から、いろんな問題について自分の頭で考え、問題意識を研ぎ澄ますことが大事です。

 少しでもスムーズに書くための取材(材料集め)と文章の構成(設計図)について、以下のようにまとめました。

 

 

①日々取材

 

○基本は日々の新聞スクラップ

 時間軸で保存し定期的に目を通す

 保存する入れ物は出し入れしやすいものに

 

○取材で入手した資料の保管は万全に

 

○メモ帳はA6かB7判ノートで十分

 

○メモ帳に書くときまずその日の年月日から

 

○講演やインタビューのメモは早めに読み返して補足する

 

○日頃からまめにメモ。企画アイデア、読みたい本などリスト類は後ろのページから

 

○メモはときどき読み返して生かす

 

○書き終えたメモ帳は、後で参照しやすいよう書いた期間を表書きして保管する

 

 

②材料を選び構成を考える

 

○テーマに合う材料を探し主張を明確にする

 

○材料を思いつくまま書き出し、そこから選び出し、主張をより明確にする

 *大筋の流れが頭の中でまとまったら、短文なら、この段階でも書ける

 

○構成方法は「逆三角形」方式で。結論を先に書き、詳細な説明、別の角度からの見方などを加えていく

 

○構成メモ(文章の設計図)を書き出して、書くときの行き詰まりを少なくする

 

○構成メモでは、必要な項目が抜け落ちないよう、論理的で筋が通るよう、項目を順序立てる

 

○構成メモが細かい設計図でなくても、大まかな流れが決まったら書き始めよう。書きながら項目の抜けに気づくこともある

 

 

 

書くとき書いた後

 わかりやすく読みやすく

 

 記事を書くときめざすのは読者に考えてもらい、関心や共感を抱いてもらうこと。そのために、中学生でも理解できて、読みやすく、とっつきやすい記事を書きたいものです。ポイントを以下のようにまとめました。

 

 

①事実こそ説得力をもつ

 

○事実を示して、客観的に書いてこそ説得力を持つ

 

○五感をフルに働かせて、臨場感あふれる記事を書こう。なかでも直接話法の会話文があると、真実味が増し、身近に感じられる

 

○事実を正確に書く要素は、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)、読者にとっての意味・値打ち(Worth=)の6W1H

 

 

②段落を土台に展開する

 

○段落とは一つのトピック(小主題)について一つのこと(考え)を記述するもの

 

○トピック・センテンス(小主題を概論的に述べた文)を中心に展開すると、より書きやすくなり、読みやすくもなる。各段落のトピック・センテンスを並べれば、文章全体の要約になる

 

 

③わかりやすく誤解なく伝える

 

○文はできるだけ短く

 

○主語・述語、修飾語・被修飾語など、係り・結びをできるだけ近づける

 

○列挙するときは箇条書きに

 

○単語や言い回し、漢字にまちがいがないか、まめに辞書をひいて確認する

 

○意図した通り正確に伝わるか吟味する

 

○わかりにくいカタカナ語・専門用語を乱用しない

 

 

④読みやすさを追求する

 

○歯切れよく言い切る。「交渉を進める」は「交渉する」と書く。受動態、二重否定、接続助詞「が」など、あいまいな表現、まわりくどい表現は避ける

 

○接続詞、修飾語、指示語、代名詞はできるだけ削ぎ落とすと、すっきりした読みやすい文章になる

 

○視覚的にも読みやすさに配慮。漢字だらけにならないよう、意識してひらがなを使う

 

○文末に変化をつけてリズムよく

 

○キーワード以外は同じ言葉を何度も繰り返さない

 

 

*機関紙として、文章の基本的な表記――〝である〟調か〝ですます〟調か、算用数字か漢数字か――は統一しておく。漢数字で統一する場合も、横書き部分や見出しは算用数字を使う

 

*ひらがなで書きたい主な語句

  代名詞 あなた、だれ、これ、それ…

  連体詞 ある、いわゆる、ほんの、わが…

  接続詞 あるいは、かつ、すなわち、したがって、および、また、なお、ならびに…

  助動詞、補助用言 ごとき、できる、とみられる、にすぎない…

  副詞 あくまで、おおむね、おしなべて、くしくも、さらに、ぜひ、だいぶ、ちょうど、ともに、ほとんど、めったに、もはや…

  形式名詞 こと、とき、ところ、うち、もの、わけ…(「事と次第によっては」などのように実質的な意味がある場合は漢字で表記)

 

 

⑤推敲、校正を十分に

 

○書き終えたら必ず推敲する

 

○校正は十分に。特に数字、固有名詞に注意。人名、電話番号などはもう一度、原典に当たって確認する

 

 

※記事の書き方の詳細は、『宣伝研究』2015年7月号の「白熱文章教室2準備作業」と2015年9月号「白熱文章教室3書くとき書いた後」をご参照ください。